戦略伝達段階における失敗とは? | 「戦略実行4STEP」T(戦略伝達)段階
戦略策定段階(S)をクリアして一貫性のある戦略が策定できたとしても、戦略が実行されるためには、まだまだハードルがあります。
まず考慮しなければならないのは、戦略を実施する主体は、主に従業員であるということです。
戦略を本気で実行するための独自ワークフレーム「戦略実行4STEP」を説明いたします。
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戦略実行4STEP | 戦略を本気で実行するための独自フレームワーク
T段階での失敗
戦略や計画を実行する際、よくPDCA(Plan・Do・Check・Action)やPDS(Plan・Do・See)と言われるように「Plan(戦略実行4STEPではS段階)」のあとにすぐ「Do(E段階)」が来ますが、企業戦略の場合は、戦略の策定者(経営陣など)と実施者(従業員など)が異なることが多いため、戦略を伝達する段階(T段階)を無視することはできません。
従業員のみなさんは目の前に解決しなければいけない仕事を抱えているのが普通でしょう。明日までに完了しなければならない仕事があるのに、会社の戦略のことを考えろというのは、酷とも言えます。
だからと言って、従業員は戦略に関して無頓着でよいわけではありません。本来、目の前にある日常業務というものは、戦略の実施そのものですので、当然、従業員は戦略についてよく知っておく必要があります。
ステップ社のケース(対策前)
架空の旅行会社ステップ社では、戦略策定が完了したようですが、その後、社員はなんと言っているか聞いてみます。
佐々木社長
おかげさまで戦略をしっかり作れたので、全社員を集めて研修を行ったよ。みんな納得してくれたようだった。
商品企画部
香川さん
我が社の戦略? そういえばなんか研修があって冊子が配られましたかね。なくしてしまいました・・・
佐々木社長
ふうう、やっと、社長がやりたがっていた戦略研修が終わったわ。さて、戦略研修で時間をとられてしまったけれど、そろそろ今年度の研修テーマを考えないと。
S段階における主な失敗
(1)戦略が成立していない
社長は戦略についてよく考えているかもしれませんが、社員には目の前の業務があり、通常はあまり戦略など意識していないはずです。その中で1回話しただけでは、不十分でしょう。そんな話があったことすら忘れている社員がいても不思議ではありません。
一方、いったん「戦略」から離れて、研修担当の宮間さんの話を詳しく聞いてみると、
- 研修の効果ってどう説明すればよいのかしら
- 研修のときは理解してもらえても、職場に戻ると研修内容が活かされていないことが多いみたい
- 外部講師だと的はずれな研修になる可能性もあるけれど、内部講師の手配は難しいし
など、研修担当者としての悩みは尽きないようです。
(2)戦略の内容と伝達対象者にずれ
たとえば、現場の営業担当者に、M&A戦略の話をしてもあまり意味はないでしょう。対象範囲がM&A戦略といった全社的な話であれば、それを伝える対象者は、M&A施策の実行に携わる人にするべきでしょう。各自の業務内容にあったレベルの戦略を伝えるべきでしょう。
次回予告:対策
次回、T(戦略伝達)段階における対策を考えていきましょう。
【対策】戦略を伝え、現場と共有することを軸とした研修を行おう | 「戦略実行4STEP」T(戦略伝達)段階