戦略策定段階における失敗とは? | 「戦略実行4STEP」S(戦略策定)段階
このページから、戦略実行4STEPの4つの段階について詳しく見てまいります。お急ぎの方は、以下のページのみをご覧いただければ概要がわかるようになっております。
ケーススタディ | 戦略を本気で実行するための独自フレームワーク「戦略実行4STEP」とは?
目次
戦略を本気で実行するための独自ワークフレーム「戦略実行4STEP」を説明いたします。
順番にご覧になりたい方はこちら(↓)から。
戦略実行4STEP | 戦略を本気で実行するための独自フレームワーク
S段階での失敗
戦略を実行するためには、まず戦略を策定する必要があります。
ほとんどの企業においては、なんらかの「戦略」が存在しているでしょう。
しかし、どれほどの企業で、戦略が有効活用されているでしょうか。
戦略の内容を冊子にしたり社長のビデオを作ったりしても、それはそれで完結してしまい、日常業務は別の次元で動いていることが少なくないのではないでしょうか。
戦略が実行されない原因は、次段階以降の戦略伝達(T)、戦略実施(E)段階にあることも多いですが、戦略策定(S)段階で失敗しては、その先に進むことすらできません。十分に時間をかけて、しっかりとした戦略を立案し、S段階をクリアしたいところです。
ステップ社のケース(対策前)
架空の旅行会社ステップ社における、社員の声を把握してみます。
佐々木社長
我が社の戦略は、お客さまに信頼される旅行会社であることです。また、団体旅行の減少を受け、パッケージツアーの開発・販売に注力しています。
経営企画部
遠藤さん
そろそろ来年度の戦略を策定しないとならないけれど忙しくて時間がない。今年と同じでいいか。
商品企画部
香川さん
どんないい商品を企画をしても営業ががんばって売ってくれないんです。
営業部
長友さん
うちの商品は価格競争力がないのでいくら営業ががんばっても売れません。ここだけの話だけど。
営業部
阪口さん
前年度比130%が売上目標? それは無理でしょう。今年もだめだったわけだし・・・
S段階における主な失敗
(1)戦略が成立していない
佐々木佐長が戦略としてあげている「お客さまに信頼される」ということはもちろん大事なことですし、社是や経営理念とするのはよいかもしれませんが、戦略という点では具体性に欠けており、具体的に何をすればよいのかわかりません。
また、パッケージツアーに注力するというのも、ほかの旅行会社(競合)も実施している可能性が高く、競合に対して差別化できているとは考えにくいため、お客さまに自社を選んでいただく理由にはなりにくいでしょう。
少なくとも戦略の定義としてあげた「お客さまにとって価値のある商品・サービスを、自社ならではのリソースを使って、競合に対して差別化された形で提供するための具体的な方針を示すもの」の各要素(赤文字部分)は埋まるくらいでないと、戦略とは呼べないでしょう。
(2)戦略と日常業務が断絶
本ケースでは戦略自体が成立していないので、日常業務には反映しようもありませんが、戦略自体は成立していても、いざ日常業務に落とし込むとなると何をやればよいかわからないことも多々あります。
戦略は、社長室で策定して終了する話ではなく、現場の日常業務の中で実行されて初めて意味を持ちますので、日常業務との関連を見越した戦略策定が必要です。
また、戦略が成立しておらず、商品企画部と営業部が日常業務においてなすべきことが不明瞭になっており、結果として、不毛な責任の擦り付け合いが発生しています。
(3)戦略を軽視する風潮がある
これは、「(1)戦略が成立していない」の原因となりうることですが、戦略実行4STEPのどこかでつまずいてしまっている状態ではいたしかたない面もあります。
4STEPのどこかでつまずいてしまった場合、たいていは成果が出ないでしょう。
たとえば、多大な労力とコストをかけて戦略を策定(S)したにもかかわらず、それに続く伝達(T)・実施(E)などの段階でつまずいてしまった場合、それまでの努力が水泡に帰することになります。
そうなると、労力とコストをかけた分、何もしなかったときよりも費用対効果が悪くなってしまいます。
このような状況では、「そもそも戦略を策定しても意味がないのではないか」という戦略軽視の風潮が出てきてしまいます。
そして、翌年度の戦略策定の際に、「どうせ効果はないだろうが、例年やっているので、適当にやっておこう。」となり、ますます実行できない戦略が策定されるという悪循環に陥ります。
この悪循環を断ち切るためには、とにかく1回、戦略実行4STEPを最後まで回してみることをおすすめいたします。
特に、「戦略は策定したが(S)、計画倒れになってしまった(T段階以降失敗)」ような場合は、既によい戦略ができている可能性がありますので、 本サイトも参考にしていただきT段階以降を再度実施されると、戦略の重要性が認識され、スムーズに戦略実行4STEPが回り出すかもしれません。
(4)目標値が高すぎる
成熟した市場であれば、ある事業が単年度で10%も20%も成長するということは、なかなか難しいでしょう。
まずは、市場の成長率を参考に、現実的に達成できる目標値を設定することが重要です。
たとえ、前年度比+2%の目標値であっても、それを達成した社員にとっては、成功体験として大きな自信になります。
また、それ以上に注意しなければならないのは、高い目標を掲げ、それが達成できなかったにもかかわらず、特に罰せられることもなかった場合です。
こうなってしまうと、「どうせ目標は達成できないし、たとえ達成できなかったとしても特に困らない」といったように、目標が形骸化してしまい非常に危険です。
ユアスト 江村さん
もちろん、高い目標が絶対にだめというわけではありませんが、そのためには経営側も覚悟が必要で、目標達成を支援する投資を集中的に行うなどが必要になってきます。
次回予告:対策
以上、まとめると、
S段階での主な失敗は、「一貫性のある戦略が策定できていないこと」と「戦略が日常業務と結びつかないこと」
ということでした。
次回、S(戦略策定)段階における対策を考えていきましょう。
【対策1】定義に従い一貫性のある戦略を策定する | 「戦略実行4STEP」S(戦略策定)段階