なぜ、フレームワークとして3C分析を使うのか?
当社では、いろいろある(ビジネス)フレームワークのうち、3C分析に要素を追加した「3C+分析」を提唱しています。
しかし、経営やマーケティングをよく勉強されている方の中には、なぜ3C分析をベースにするのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、そのあたりについて当社の考えを述べたいと思います。
目次
そもそも戦略とは?
フレームワークはどれを使えばよいかの判断が最も難しい
フレームワークには「3C分析」(当社で提唱している3C+分析も、そこまで有名ではないにしろ一つのフレームワークです)以外にも、
「SWOT分析」、「5Forces」、「PPM(Product Portfolio Management)」・・・など、
広く知られたものがたくさんあります。
ご存知のものも多いかと思いますが、ざっと整理します。
SWOT分析
「SWOT分析」は、自社(内部環境)の強み(Strength)と弱み(Weakness)、 自社を取り巻く外部環境の機会(Opportunity)と脅威(Threat)を整理することで、自社の立ち位置を把握し、今後の経営の方向性を見出そうとする分析方法です。
5Forces
「5Forces」は、「業界内の競合」、「売り手の交渉力」、「買い手の交渉力」、「新規参入の脅威」、「代替品の脅威」という5つの「力」を分析することを通じて、その業界で戦うかどうかを検討するための手法です。
PPM(Product Portfolio Management)
「PPM(Product Portfolio Management)」は、市場におけるシェアを横軸に、市場成長率を縦軸にとったグラフを考え、縦横両方とも2分割することで4つのエリア(象限)に分割します。
そして、自社の事業を以下のとおり分類します。
・成長率:高、シェア:高 → 花形
・成長率:低、シェア:高 → 金のなる木
・成長率:高、シェア:低 → 問題児
・成長率:低、シェア:低 → 負け犬
その上で各事業をどうするか(例えば、負け犬であれば早めに撤退するなど)を考える手法です。
いろいろなフレームワークを学ぶことは楽しい面もありますが、実務で使うとしたら、あまり勉強ばかりしているわけにもいきません。
それに、いろいろ勉強すればするほど、「一体どのフレームワークを使えばよいんだ?」ということになりがちです。
使い方が難しいSWOT分析
上記にあげたフレームワークのうち、特に人気が高い?ものは、SWOT分析かなと思います。
よく、企業でも「SWOT分析を使ってみましょう」という研修が行われているように思います。
しかし、当社ではSWOT分析を使うことはありませんし、おすすめすることもありません。
と言いますのも、SWOT分析は簡単なようでとても使い方が難しく、誤った結論に到達する恐れがあるためです。
一番危険なのは、あることがらが強み(Strength)なのか弱み(Weakness)なのか、もしくは機会(Opportunity)なのか脅威(Threat)なのかということは簡単には判断できないという点です。
例えば、最寄り駅から徒歩17分のところにレストランがあったとすると、駅から遠いのでこの店舗の立地は弱みと考える人は多いでしょう。
一方で、駅から遠いからこそ隠れ家的な雰囲気があってかえって人気が出ることもありえます。 この場合、駅から遠いことは、むしろ強みと言えるでしょう。
また、他の例として、ある会社の社員の平均年齢が高いとしたら、それは強み(ベテランが多く業務に精通している)なのか弱みなのか(新技術に遅れがち)、判断に迷うことは少なくないと思います。
このため、SWOT分析を行うと、まともな分析にならなかったり、かえっておかしな結論に到達してしまうことがよくあります。
たいていの場面で使える3C分析
「5Forces」は新規事業で新たな業界に参入するような場合には使えますが、既にいる業界の中でどのように戦っていくかを考える際には不向きです。 そして、たいていの場合は、既にいる業界の中での戦い方を考えることになります。
「PPM」は長きに渡って複数の事業を展開している大企業であれば使う場合もあるかもしれませんが、多くの中小企業からはちょっと縁遠いフレームワークと言えます。
これに対して、3C分析(それから派生する3C+分析)は、中小企業や個人事業主を含むほとんどの事業者が、日常的に直面する問題に適用できます。
お客さまや競合がいないビジネスは基本的にありませんし(いわゆるブルーオーシャンというのは競合がいないのではなく、競合との差別化が成功している)、競合よりもうまくお客さまの要望に応えるためには、自社の強みやリソースについて当然考える必要があります。
逆に、これらを考えておけば、たいていの場合は事足りるのです。
ぜひ、安心して3C+分析を使ってみてください。
戦略に正解はあるのか?3C+分析でチェックしよう