そもそも戦略とは?
当社の社名にも含まれている戦略(Strategy)について、何回かに分けてお話ししていこうと思っております。
第1回目は「そもそも戦略とは?」というお話です。
戦略の定義は難しい
大辞林によれば戦略とは、
「長期的・全体的展望に立った闘争の準備・計画・運用の方法。」
とされています。
確かにおっしゃるとおりという感じもしますが、ちょっと抽象度が高い感じがします。
また、「戦略と戦術の違い」もしばしば議論の対象になります。
大辞林でもわざわざ「戦略の具体的遂行である戦術とは区別される。」と書いてあります。
そして、戦術とは、
① 個々の具体的な戦闘における戦闘力の使用法。普通、長期・広範の展望をもつ戦略の下位に属する。
② 一定の目的を達成するためにとられる手段・方法。 「牛歩−」
とされています。
これもわかったようで、結局のところあまりよくわかりません。
「戦略は全体で、戦術は部分だ」と言う人もいます。
しかし、仮に戦略が全体で戦術が部分だとすると、
たとえば、ある会社の営業をどうしようと考える際、社長が考えるなら経営の一部分だから「戦術」でしょうが、営業部長から見ればそれは自分の仕事全てなので「戦略」になると思います。
同じ内容が、考える人によって戦略になったり戦術になったりしては、非常に扱いにくいです。
戦術は真似できても、その裏にある戦略は真似できないのか?
当社の考える戦略
当社は経営コンサルティングを行っており、社名にも戦略(Strategy)が含まれていますが、 実は、明確に戦略、そして戦術を定義できていません。
「そんなんでよく経営コンサルをやっているな」、「社名の意味もわかっていないのか」とご指摘を受けるかもしれませんが、それだけ明確に定義することは難しい用語のように思います。
とはいえ、漠然としたままでは話が進みませんので、 ビジネス等を念頭に、当社なりにもう少し具体的な表現にすると、
「お客さまにとって価値のある商品・サービスを、自社ならではのリソースを使って、 競合に対して差別化された形で提供するための具体的な方針を示すもの」
などと言ってもよいかと思います。
また、戦略・戦術の本質的な違いとして私が考えている点があります。
それは、
「戦術は今すぐできること。戦略は今すぐにはできないことも含めてよい。」
という点です。
これらを踏まえ、当サイトでは戦略を、
・お客さまにとって価値のある商品・サービスを、自社ならではのリソースを使って、競合に対して差別化された形で提供するための具体的な方針を示すもの
・今すぐにはできないことも含めてよい(戦術は今できること)
と捉え話を進めていきたいと思います。
戦略は誰にとって有用?
戦略を用いる代表的な存在は企業だと思いますが、 個人事業主やNPOといった事業者にとっても、もちろん有用です。
自分たちが持っているリソース(たとえば独自のノウハウ・技術や特許、機械装置等)を活用して、よい商品やサービスを産みだし、お客さんに買ってもらって、事業をうまく回していくために戦略を使います。
そして、たとえば研究開発は、今すぐにはできないことを将来可能にするための努力と言えます。
また、より広い意味で、戦略は政治・行政(国、地方自治体)においても有用です。
昨今では、国は「まち・ひと・しごと創生戦略」を推し進めていますし、地方自治体も「地方版総合戦略」の策定が努力義務となっています。
このまま何も対策をとらないでいると、消滅してしまう自治体が公表され話題になりましたが、地方自治体も自分たちが持っているリソース(たとえば盛んな産業や豊かな自然)を活用して、行政サービスを提供し、その自治体に住んでもらったり働いてもらうことを通じて税収を確保し、事業等(この場合、行政運営)をうまく回していくことが求められています。
一方、戦略の考え方は、個人が自分のキャリアを考える際にも強力なツールとなります。
自分が持っているリソース(システム開発ができる、デザインができる、こまやかな気配りができる)を活用して、勤務先でエンジニア、デザイナー、秘書などとして活躍し、給与をもらいながら成長していくために、自分自身の戦略(キャリア戦略と呼ばれることもありますね)を考えていくことはとても大事だと思います。
ユアスト 江村さん
当サイトでは、このようにいろいろな主体にとって有用な戦略について、基本的な考え方や具体例を紹介していきたいと思います。
3C分析をする|戦略の基本 −戦略の作り方 その1−