「自社のリソース」と「強み」を連動させる|戦略の基本 −戦略の作り方 その2−
前回は、 戦略の基本となる3C分析のうち、
「Customer:お客様」・「Competitor:競合」について説明しました。
3C分析をする|戦略の基本 −戦略の作り方 その1−
「Customer:お客様」については、
誰(どういった人)という部分とその人がどういう要望(ニーズ)を持っているかという部分に分ける
「Competitor:競合」については
誰(どういった事業者)という部分とその事業者がどういう特徴を持っているかという部分に分ける
ことがポイントでした。
今回は、3C分析のうちの最後の1つ「Company:自社」について見ていきます。
自社が競合に勝てる強み
3C分析で、自社に関して何か書きなさいと言われると、
「商品・サービスの品質が高い」
「社歴が30年と長く伝統がある」
など、それらしいことがあがってくることが多いように思います。
確かに、日本の企業の商品・サービスであれば高品質かもしれませんし、仮に30年も続いている企業であれば、このご時世では社歴が長いといっても間違いではないかもしれません。
ただし、ここで重要なのは他の2つのC「Customer:お客様」・「Competitor:競合」を念頭において、「自社が競合に勝てる強み」を考えるということです。
「自社が競合に勝てる強み」は、「差別化ポイント」と言い換えてもよいでしょう。
自社が30年企業だったとしても、競合が50年企業であれば、競合に勝てる強みにはなりません。
また、例えば競合を上回る超ハイスペックパソコンを発売したとしても、インターネットとオフィスソフト程度が使えれば十分というお客様に対してはほとんど意味はありません。
ユアスト 江村さん
つまり、狙うべき「Customer:お客様」が持っている要望に対して、「Competitor:競合」よりもうまく応える必要があります。
最重要事項:「自社のリソース」と「強み」を連動させる
さて、「自社が競合に勝てる強み」を考える必要がありますが、この「強み」は実現可能性があるものでなくてはなりません。
例えば、新たに旅行会社を立ち上げる際に、競合となり得る大手旅行代理店に対して、「集客力で勝つ」のは現実的ではありません。
また、「競合よりも高品質の商品・サービスを競合よりも低価格で売る」ということも、短期的には可能かもしれませんが、継続的に見れば難しいと思われます。
ここで大切なのは、「自社のリソース」と「強み」の連動です。
競合が持っていない高機能の設備といったハード面のリソースや、特許や独自のノウハウといったソフト面でのリソースがあるならば、それらによって生み出される商品・サービスそのものが競合に勝てる強みになるでしょう。
ウズベキスタンに10年住んでいてウズベキスタンを知り尽くしているような人が旅行会社を立ち上げるなら、ウズベキスタンへのツアーでは大手旅行代理店よりもよい商品を提供できるかもしれません。
ユアスト 江村さん
この場合は、ウズベキスタンに関する知識や経験が、自社のリソースになります。
自社のリソースは、設備等のようにお金で購入できる「モノ」と、お金では購入しにくい「ヒト」や「ノウハウ・情報」に大別できます。
前者はお金さえあれば入手は容易ですが、後者は少し大変です。
後者のリソースを獲得するためには、日々の業務を実直に遂行することこそが近道だと思います。
自社のリソースを使って競合に勝てる強みをもった商品・サービスを作りだし、それをお客様に提供し、お客様の声をよく聞くことで商品・サービスを改良していく。
その積み重ねが自社のリソース強化につながり、さらに強い商品・サービスを生み出せるようになっていく。
これが理想的な流れです。
ですので、「競合に勝てる強み」は場合によっては今すぐには実現できないことでも構いません。
現時点では競合よりやや劣る商品であっても、なかには買ってくれるお客様もいるでしょう。
(多少、赤字覚悟の値引きなども必要かもしれませんが)
その際、お客様の声をよく聞き、商品・サービスを改良していくことで、そのうち、競合に追いつき、やがて追越すことも可能です。
このように「今すぐにはできないことも含めてよい」というのが戦略の本質的な部分であり、そこに戦略を考え実行することの楽しさ、やりがいもあると考えています。
戦略の骨子が完成
あっけないかもしれませんが、当社の考える戦略の骨子はこれで完成です。
もちろん、これをさらに精緻化したり、日々の行動に落とし込んだりといった作業(それこそ戦術と言えそうです)は必要になる場合が多いですが、戦略の骨子としてはこれがあれば相当役に立ちます。
逆に、ここがしっかり固まっていない場合、いくら日々の仕事をがんばっても結果が出ないという「木を見て森を見ず」状態に陥りがちです。
ユアスト 江村さん
まずは、戦略の骨子を考えてみましょう。