戦略に正解はあるのか?3C+分析でチェックしよう
前回までの記事では、 3C分析をベースに要素を追加することで、戦略の骨子を作る方法をご説明しました。
具体的には、
「Customer:お客様」・「Competitor:競合」・「Company:自社」
という3Cに対して、
・お客様はどのような要望(ニーズ)を持っているか
・競合はどういった特徴を持っているか
・自社が競合に勝てる強みは自社のリソースに連動しているか
といった要素を追加して検討する方法で、 当社では、この方法を3C+(さんシープラス)分析と命名しています。
これによって、戦略は考えやすくなると思いますが、実際に戦略をつくってみると、ほんとにこれでよいのか? という疑問を持たれる方も多いかと思います。
そこで、本記事では、戦略に正解はあるかということについて考えます。
目次
これが正解ということはない。ただし、これは不正解というものはある。
結論から言いますと、経営戦略には正解はありません。
会社を人間にたとえれば、経営戦略は生きていく上での指針といえ、生き方そのものとも言えます。
人の生き方に正解がないのと同じで、会社の経営戦略にも正解はないと考えるべきでしょう。
一方で、不正解(間違った戦略)というのはあり得ます。
「間違った戦略」は、以下の2パターンに分けられると思います。
①戦略が抽象的で、実際に何をすればよいのかわからない
②顧客、競合、自社の整合性がとれていない
よくある間違った戦略
①戦略が抽象的で、実際に何をすればよいのかわからない
ある旅行会社の社長が、以下のように考えていたとします。
旅行会社の社長
我が社の戦略は、お客さまに信頼される旅行会社であることです。
お客さまに信頼されることはもちろん大切ですが、 お客さまに信頼される方法はいろいろあります。
たとえば、
「A:旅行商品を売ったら終わりではなく、お客さまの旅行中・旅行後までサポート体制を提供する」
ことでも、
「B:旅行を計画する段階で、お客さまの過去の旅行データを蓄積しており、それも踏まえた提案を行う」
ことでも、
「C:他社よりは少しでも安い価格で旅行商品を販売する」
ことでもお客さまの信頼は得られる可能性があります。
戦略は、現場が実行してこそ意味がありますが、
「我が社の戦略は、お客さまに信頼される旅行会社であることです。」
という抽象的な表現だと、上記AもBもCもありえるわけで、 現場の従業員はどうしてよいか困ってしまいます。
②顧客、競合、自社の整合性がとれていない
また、前回の記事でも書きましたが、 パソコンメーカーが「超ハイスペックパソコンを開発して、大量の顧客を獲得する」という戦略を掲げ、 競合を上回る超ハイスペックパソコンを発売したとしてもインターネットとオフィスソフト程度が使えれば十分というお客様に対しては、ほとんど意味はありません。
「自社のリソース」と「強み」を連動させる|戦略の基本 −戦略の作り方 その2−
一部のスペック重視のお客さまは獲得できるかもしれませんが、大量の顧客を獲得することは難しいでしょう。
ユアスト 江村さん
ターゲット顧客が求めるニーズと自社製品の強みがマッチしていません。
3C+にあてはめれば間違いにくい
これらの間違った戦略は、3C+分析をしてみると検出することができます。
上記①の「戦略が抽象的で、実際に何をすればよいのかわからない」の場合、おそらく、
・お客さまのニーズ
・競合とその特徴
・自社が競合に勝てる強み
・強みを支えるリソース
といった3C+分析の要素は埋められないはずです。
また、②の「顧客、競合、自社の整合性がとれていない」は、3C+分析を行ってみれば、さすがにおかしいなと気づくでしょう。
ユアスト 江村さん
自分で作った戦略は①や②のようなおかしなものではないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、3C+分析にあてはめて、間違った戦略になっていないかチェックしてみてはいかがでしょうか。