3C分析の留意点(小説のポイント解説)
ユアスト 江村さん
小説本編(【第9回】飲み屋で3C分析?)で、立花はみのりたちの3C分析を見て、「顧客」と「自社」の部分に見直しが必要だと指摘します。
3Cとは、先述のとおり「顧客(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」を分析するものです。しかし、分析するということはいったいどういうことなのでしょうか。
【第9話】飲み屋で3C分析?
3C分析のよくある失敗例(みのりたちの例も含まれます)は、顧客・競合・自社のマスを単に埋めただけで終了しているものです。一応、各マスが埋まっているので、それなりに正しいように見えるのですが、顧客・競合・自社の相互関係がバラバラになっていて、とうてい分析とは呼べない場合がよくあります。
こんなときに、「顧客に提供する価値」という視点を取り入れると、急に各マスが連動するようになってきます。
「このような顧客に、こういった価値を提供したい。競合はこういった商品で価値を提供している。それでは、自社ではどうすれば、競合を上回るだけの価値を顧客に提供できるだろうか。」と考えやすくなり、3C分析が、その名のとおり分析らしくなってきます。
もう一点、立花が指摘しているのが「自社」の部分です。競合を上回る価値を顧客に提供したいわけですから、ぜひとも自社の強みを作りたい気持ちになります。その結果、「とにかく安くしよう」とか、「最高品質を目指そう」といった夢が出てきがちです。しかし、現実もしっかりと見る必要があります。つまり、本当にその強みを(継続的に)実現できるのかということです。強みを実現するためには、その背後には、自社独自のリソースが必要です。
「独自リソースに裏付けられていない強みは、長続きしない」と立花が言っているとおり、自社の身の丈にあった強みを考えることが大事です。
もしかすると、「強みがない」「独自リソースが見つからない」場合もあるかもしれません。
しかし、そのような場合でもあきらめる必要はありません。「こういうことを強みにしよう、そのためにはこういう独自リソースを育てていこう」と決め、日々の業務の中で、それを実行していくことが大事です。
みなさんが、3C分析を行う際は、ぜひ、「顧客に提供する価値」と「自社の強みとそれを支えるリソース」という二つのポイントを意識して「分析」してみてください。